富士登山、7合目から頂上へ [登山、クライミング]
7合目を登った時点で、急に混みだした。
まるで高速道路で渋滞に巻き込まれたかのようである。
このままだと、確実に頂上で日の出を見ることはできない。
そこで、ギリギリの側道を150%くらいの力で登ることにした。
八合目、本八合目と進むにつれてますます日の出渋滞はピークに達する。
おまけに、側道を行くものだから、落石の可能性もあり、自分だけでなく、下を行く他者にも危険だ。
富士登山道には、登るコースと降りるコースが別れている。
登るコースは、かなり急な坂であり、登るには良いが、降りるにはかなり危険である。
逆に、降りるコースは、緩やかで下りには良いが、登るには、かなりつらい。
というのは、降りるコースは砂でできているため、1歩登ると0.3歩くらい自分の重みで降りてしまう。
おまけに砂をかなりの踏ん張って登るため、登るコースの200%くらいのエネルギーが必要か。
しかし、夜明け前までに、頂上に着くには、このコースしかない。
一歩一歩登ることにした。
気分は、どこまでも続く地獄の坂道を自分の意思ではなく、何か別のものが自分の体を動かしている様な、そんな錯覚に陥った。
眠気、寒さ、疲労。
そして、高山病になりだした自分がいる。
高山病になると、頭が痛くなる。
さらに怖いのが、平衡感覚を失っていくことだ。
時は、4時である。
ふと気がつくと、頂上にいた。
登り始めてから、ちょうど12時間だった。
日の出を待つ人
富士の日の出は不思議である。
地平線と富士の間に雲が敷き詰められているのだが、どういうわけか、その雲の中から太陽が出てくるのである。
真っ赤な太陽がゆらゆらとUFOの様に顔を出した。
もし、初めて日の出を見たことがある人は、こういうだろう。
「太陽は、地球の中から生まれ登るのだ。」と。
手乗り日の出
登り終えた二人
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