SSブログ

夜会『元祖・今晩屋』第一幕 第一場 縁切り寺 [テレビ / 映画]

夜会『元祖・今晩屋』第一幕 第一場 縁切り寺

夜会『元祖・今晩屋』

夜会を観て来た。
途中から、ネタばれを含むので注意です。

今回の夜会は、「安寿と厨子王(安寿と厨子王丸としている物もある)」という童話の続きのお話である。

パンフレットを見ると、至極、単純明快で「安寿と厨子王」の続きの話だと書かれている。
しかし、これは "中島みゆきの罠" であり、夜会『元祖・今晩屋』の話は、複雑で不思議な話だった。

まず、「安寿と厨子王(安寿と厨子王丸)」のあらすじを簡単に書くと、主な登場人物は4人。

・母
・姥竹(女中)
・安寿(姉)⇒ 垣衣(しのぶぐさ)
・厨子王(弟)⇒ 萱草(わすれぐさ)

人買いによって、母と姥竹、安寿と厨子王は、それぞれ別の舟に乗せられてしまう。
母と姥竹は、佐渡へ。
そして、安寿と厨子王は、丹後の由良、山椒大夫の元へ。
姥竹は、佐渡へ向かう途中、海に身を投げ、命を落としてしまう。

安寿は、弟の厨子王を助け、沼で入水自殺をした。
その後、その沼のほとりに、供養として尼寺が建てられた。
(今回は、何十年、何百年かした後のこの尼寺でのお話である。)

その後、逃げ延びた厨子王は、後に目が見えなくなってしまった母親と再会するところで、話が終わっている。

【以下、ネタばれあり。】

さて、話を夜会に戻して、大晦日、除夜の鐘が鳴り響く縁切り寺が舞台である。

登場人物は4人。
・縁切り寺の庵主(あんじゅ):香坂千晶
姥竹の生まれ変わり。
最後、水の中に身を投じてしまい、結局、前世と同じ人生の最後であった。
前世の安寿ではない。これも中島みゆきの罠であろう。

・元・画家のホームレス:コビヤマ洋一
厨子王の生まれ変わり。

・脱走した禿(かむろ):土井美佐子
安寿の生まれ変わり。
姥竹同様に、水の中に身を投じてしまい、同じく、前世と同じ人生の最後であった。

・暦売り:中島みゆき
消去法でいくと、母の役。
しかし、母という存在以上に、超越した何かの存在(鏡?)なのかもしれない。

百九番目の除夜の鐘
なり始めたならどうなろか
鳴りやまなければどうなろか
 
このまま明日にも成りはせず
このまま来生に成りもせず
 
やさしき者ほど 傷つく浮世
涙の輪廻が来生を迷う


往来、百八の除夜の鐘は、その一年の業をリセットし、新しい一年を迎えるという意味である。
しかし、涙の輪廻が来生を迷うと歌っている様に、実際はそうではないんだろうか?と中島みゆきは問いかける。
現世でした全てのことを背負って、次の人生をスタートさせる。

母、姥竹(女中)、安寿(垣衣)、厨子王(萱草)が前世での業を持って、生まれ変わり、そして、また、同じ様な人生を繰り返す。
少しずつ浄化されながら。

ここで、第一幕(60分)は、終わり、20分の休憩。
その後、第二幕(60分)が始まった。

(続く・・・)

※夜会を観るなら、森鴎外『山椒大夫』をあらかじめ読んでいることがオススメである。


山椒大夫・高瀬舟    新潮文庫

山椒大夫・高瀬舟 新潮文庫

  • 作者: 森 鴎外
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 1968/05
  • メディア: 文庫



第二幕の感想は、こちら。
http://skellington.blog.so-net.ne.jp/2008-12-11

nice!(0) 
共通テーマ:演劇

nice! 0