比率と実数のトリック

新聞などのニュースを扱う際に、編集ではなく、偏集している場合があります。
何を強調するかは、記者によるのでしょうが…

よく使われるトリックが、比率と実数のトリック。

こんなニュースがありました。

日本の韓国への投資額、昨年４０．８％も減少
　
韓国産業通商資源部は２８日、昨年の外国人直接投資（ＦＤＩ）の申告金額が１４５億５０００万ドルで前年対比１０．７％減少したことを明らかにした。グローバル金融危機の影響で外国人投資が萎縮した２００９年以降、初めての減少傾向だ。特に日本の投資額は２６億９０００万ドルで前年対比４０．８％も減った。

これを読むと、「う～ん、半分近くも減ったんだ！」という印象を受けます。

過去のデータを引っ張ってきて、グラフを作ってみました。



これをみると、
・2012年度だけすごく上がっていて、今年は直近でみると過去2位の投資である。
・全体（日本と日本以外の合計）の投資も過去2位。
・対前年比で10.7%落ち込んだ理由は、日本からの投資が減ったから。
・日本以外の投資は微増している。
という事実が見えてきます。

40.8%も減ったと強調したいのか、まだ、26.9億ドルも残っていると表現したいかによって違ってくるのでしょう。

これはほんの一例で、比率と実数を使ったマジックってたくさん存在します。
素直にニュースを感じるのではなく、一歩引いて、俯瞰的に事実を見抜くことって大切ですよね。